見上げる塔は天高く (2009/5/23)




 久方ぶりに見たタルタロスは、相変わらず禍々しく不気味な佇まいだった。
 そういえば結局この塔の頂上に辿りつけたのか否か、知らないままだ。
 見上げる塔は酷く高い。
 頂上に着くまでにどれくらいの期間を要するのか、考えるだけでも気が遠くなりそうだった。
 だが今日から現場復帰となる真田には、むしろ格好のトレーニングの場としか捉えられていないらしい。

「言っとくが、くれぐれも俺の足を引っ張るんじゃないぞ」

 どこかうきうきとした様子で言うのに、思わずため息が漏れる。
 現場リーダーを後輩に任せているのだから、せめて自分が引っ張っていくとかサポートするとか、そういった事が言えないものだろうか。
 それが実際出来るかどうかは別として、だ。

「いっ! なんだシンジ!」
「アホか。怪我が治ったばっかで浮かれてっと、つまんねートコで躓くぞ」

 平手でべし、と真田の後頭部を叩く。
 何やら喚く真田を無視し、凌に顔を向けた。

「多少のブランクはあるが、後れを取る気もねえ。まあ、一つ戦略の幅が広がったとでも考えとけ」
「はい。お願いします」

 荒垣の言葉に頷いた凌が、どこか安堵したように微笑った。
 今はまだ風花が仲間ではないからだろう、サーチ役には桐条が就いている。
 何となく仲間の様子を見て、せめて自分がいる時だけでも凌の負担を減らせればいいのだが、と考えた。




 

 

P3Pで復帰時の真田先輩のセリフを見て、思い浮かんだ話。
この場に荒垣さんいたら、どうだったかなー、と。
……まぁその時真田先輩と主人公のレベルは13開いていたわけですが。

UPDATE/2009.11.11

 

 

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