私生活・追い風、向かい風



◆P3・荒主前提・逆行パラレル◆
主人公名・水沢凌(みずさわしのぐ)



 理由も原因も分からない。
 夢なのかと疑い、夢であればいいのにとさえ願い、けれど結局行きついた答えは。
 これは現実以外の何物でもない、ということだけで。
 もしかしたら酷くよく出来た夢なのかもしれない。本当の所がどうなのか、分からないし確かめる術もない。
 分からない以上、これが現実だと思い立ち向かうしかない。

 手のひらを握ったり開いたり、を繰り返してみる。手のひらも、指も、爪も、全てが自分のものだ。
 与えられた「新しい1年」がどんなものになるかは分からない。何故再び与えられたのか、それすらも。
 ただ、思うのは。願うのは。

「失いたくない、なんて傲慢かな……」

 ぽつり、呟く。
 誰に言う訳でもなかったのに、思わず声に出していた。
 先がどうなるのかなんて、分からないけれど。
 思う。願う。
 同じ結果にはしない、と。
 自分の願う事は彼の望まないことかもしれない。
 それでも。

 生きてください。死なないでください。

 背負う覚悟は決めた。
 思い出も、これからも。
 息を吸う。吐く。
 顔を上げて、前を見据える。
 今はまだ出会わない貴方へ。
 ……思い出の中にしかいない、貴方へ。

「俺は、進みます」

 追い風に背を押され。
 向かい風すら吸い込んで。

 さあ、前へ。


END



東/京事/変の「私生/活」を聞いたらぐわーっと書きたくなった逆行話。
いんですよ、この唄。切ないんだけど、強さも忘れてないような感じが。
ぽんっと荒主で浮かんだのは、ちょうど聞いた時にP3やりまくってた時期だったからだと思われ。
長編で書くとかいうつもりじゃないんですけど、後もう一本くらいは書く予定。
てゆか逆行て初挑戦じゃね?(記憶にないだけだったらどうしよか)

以下、逆行に関する個人的考察もどき。
逆行ってね、ゲームにハマるまではそんなによく知らんかったんですよ。
元々プンジャ系から同人に入ったんですけど、そっちではあんま見ないジャンルかなーと。
逆行がいっぱいあるなーと思ったのはアレだ、TOAからですかね。
てゆっかTOAはゲーム系の中でも一際多かったような気もしますが。(そんだけ皆元の展開に不満だったとも取れるよな……)
で、個人的に考えたことなんですが。
逆行ってRPGでの2周目っていうのがあるからこそ出てきたものなのかな、と。
2周目特典、ていうのがあるじゃないですかRPGって。
レベルとかお金の引継ぎが出来たりとか。
そこから生まれたのが逆行の流行りなのかなーって思ってみたり。

正直ありがたいですけどね、2周目特典!
P3の2周目もやる気ですようひひ。



2007/10/19 ブログ小話
(UPDATE.2008/6/19)





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