欠陥と失格を掛け合わせて出来るモノ



「俺はさぁ、自殺志願者の気持ちやら考えてることっつーのは、多分死んでも分かんねーと思うわけだよ」
「まあ、自殺志願者じゃなくても他人の考えてることなんざ分からなくて当然じゃないか? というか、他人の考えてることが分かった、なんて言い切る奴は思い上がりも甚だしいと思うけどね」
「確かに正論だが、いきなり命題にすっ飛ぶなよ。その手の議論はまた今度な、今度。時間が目一杯ある時に」
「約束を交わすような間柄でもなし、顔を合わせる時は何故だか大概切羽詰まってる僕らとしてはそんな日は永劫訪れないような気がするんだが」
「…やなカンジに話の腰をポキポキ折る野郎だな。ま、いいか続き行くぞ。ともかく俺は自殺志願者の気持ちは分からない。それは逆立ちしようと、だ」
「さっきの死んでも、から一気にグレード下がったな」
「話の腰を折・る・な。いんだよ、同じ表現ばっかだとボキャブラ少ないみたいだろうが。まぁそんでだ。自殺したいっつー気持ちは分からないが、殺されても仕方ねーな、ってのはあんだよ」
「ネガティブなんだかポジティブなんだかよく分からないな」
「や、別に死にたがりってわけじゃねーんだぜ? だって俺を殺せる奴なんてそうそういねーし」
「ああ…そういやそうだな」
「だろ? けどまあ、そういう立場の俺だからこそ、死の覚悟っつーの? まあそんな仰々しいもんでもねーけど、とにかく死に対する意識みたいなのはあったりすんだよ。死にたいわけじゃあ決してないけど、死んでも別に後悔はしねーかな、みたいなさ」
「なるほど。それで?」
「けどなあ……何なんだろうなあ。自殺志願者の考えることなんざこれっぽっちも分かる気配もねーし、別に理解したいわけでもねーんだけどな。死に様を、死に時を、選んだ結果が自らを殺す、ってことになんのかね?」
「僕に聞かれても、分かるわけないだろ。残念なことに死ぬような目に遭ってもどうにかこうにか生き残ってきちまってるんだから」
「あー…別に答えを求めての問いじゃねんだよ。まあ、最初っから独り言みたいなもんだ」
「だろうな。どこか噛み合ってなかったし」
「相っ変わらず容赦ゼロだな、お前」
「僕の来た道後方三百メートルくらいに苔むして転がってるよ」
「はみだしっ子かよ! 古っ、てか若い世代に元ネタ通じないフリはやめとこうぜ危険だから」
「振っといてなんだが、少女漫画にも精通してるお前が凄いよ」
「お前が言うか。セレクションの衝撃にツッコミそびれたが、お前の容赦は三百メートルなんて近くにはないだろうがよ」
「まあな。距離なんて測れないぐらい前に手放したから」
「かはは、まあたまにはいいんじゃねっか? こういうのもよ、傑作じゃねーか」
「……戯言だと思うけどな」


END










人間試験読んだ。
やっぱり人識クンが好きなわけでして。
まぁ所詮偽ですが、好きなんだよう、の気持ちを込めて。(で、書くのがコレてどうなのか)
そんでまた携帯から。指痛いわ!(笑)


2007/06/22ブログ小話
(UPDATE.2008/6/19)




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