【最終兵器彼女パロ】 (ちせ=三橋、シュウジ=榛名) 「ご、めんなさ……い」 掠れた声で、三橋は言った。 びくびくおどおどして、気弱な三橋。 今もまた、その目には涙が溜まっている。 いつもなら、いつもの榛名なら。 肩を竦めて、少し微笑って、三橋の頭を撫でながら泣くなよ、とでも言えていたのだろうけれど。 突然に突き付けられた現実は榛名からいつも通りの余裕をいとも簡単に奪ってしまった。 「レン、お前……?」 「ごめんな、さい、ご、めんなさ……」 ふるふる、と頭を振って。 その拍子に三橋の目からとうとう涙が零れ落ちた。 変わらないのに。 その声も、仕草も、表情も。 全てが三橋でしかないのに。三橋でしかありえないものなのに。 それでも、体が動かない。 その、理由は。 「オレ、兵器に、なっちゃいま、した」 三橋の右腕。 細っこくて、肉刺だらけで、抜群のコントロールを誇る、その手が、腕が。 その肩の辺りから、名前も知らない兵器に変じていた。 声をかけるのも忘れたまま呆然としている榛名に、三橋はもう一度ごめんなさい、と謝る。 「あ……」 一体どんな仕組みになっているのか、三橋の腕がすうっと元の生身に戻った。 兵器に変じた時に裂けてしまったのだろう、三橋の着ているワイシャツは右袖がなくなっていた。 見れば、肩の辺りがぼろぼろになっている。 剥き出しの腕は、まだ早春の空の下では寒そうで。 陽光を受けて、白く細い腕が震えていた。 その震えは多分、寒さから来るものではないだろうとは分かっていたけれど。 その場にへたり込んだ三橋の前に、榛名もふらりと座り込んだ。 三橋は声もなく泣いていた。 言葉が出て来ない。 榛名は呆然としたまま、それでも三橋の体をかき抱いていた。 抱き寄せられた榛名の胸元で三橋がぽつりと、ごめんなさいと呟いた。 嘘みたいに蒼い空。 瓦礫の中。 その言葉と体温だけが、変に現実感を伴っていた。 END |
Web拍手掲載期間→2005.8.27〜2005.10.19 |