だんでらいおん case6 なあルフィ。 おれは知らなかったんだ。 おれが、孤独だったこと。 生きるのに不自由なんて何一つしてなかったけど、おれの心にはいつもぽっかりと空白があった。 だけどそれが何なのかなんて、知らなかったし気付かなかった。 ……もしかしたら、無意識のうちに知らないフリをしてただけかもしれねぇけど。 おまえが教えてくれたんだ。 誰かといることの楽しさ。 話が出来ることの喜び。 別れるときの淋しさ。 大切だと思える誰かに出会えた、他に代え難いほどの幸福さを。 知らないままじゃなくて、良かった。 おまえに会えて良かった。 もし次があるなら、生まれ変われるとしたら。 おれは、おまえみたいになりたいよ。 笑って、笑い合って、誰かの心を暖かくしてみたい。 牙も爪もなくても、誰かの心を抱きしめられるようになりたい。 もう、お前に呼びかけることはできないけど。 淋しくなんてない。 本当はどこかで気付いてた。 おまえに呼びかけた、声。 ひとりじゃない、それは誰よりおれが感じていたいことだったんだ。 だけど今なら、分かる。 離れていても。 触れられなくても。 この身体が、鼓動を止めても。 心はきっと、いつだって大切なものの傍へ向かうんだって。 おれの心はおまえに向かうよ。 なんでかな。 目の奥が、痛ぇや。 後悔なんてしてないのに。 こんなに、満たされてんのに。 よく、分かんねぇけど。 おまえにもらった、このぬくもりがあれば。胸の中にある、暖かなものさえあれば。 他にはなんにも、いらねぇ気がする。 おれが生きた意味は、生まれた答えは、そこにあって、それがすべてだ。それで、いい。 それ以上のものなんて、きっとない。 ……最後に、一つ。 次におまえに会うときは、ちゃんと抱きしめられると、いい。 |
いつだってどこだって、心は傍に UPDATE/2010.7.31 閉じる |