むかしのはなし


 今が、以前よりか幾らかはマシになったのだとしても。
 過去はなくならない。
 アイツらと、少しは話せるようになっただとか。
 前よりかは楽な気持ちで野球をやれているとか。
 そういうのは、あるけれど。

 俺が事故の原因になった事実は変わらないし、なくならない。
 その責務を、俺は一生背負ってく。
 忘れたりなんて、きっと出来ない。
 忘れるべきじゃないことだと思うし、忘れたくないから。
 過去は「現在」を苛むものではなく、「今」へ至る道筋に在るもので。
 苦いことですら、一つ欠けただけで俺は今の俺じゃなかったんだろう。
 今の俺が、悪くないと思ってるから。
 それはつまり、目を背けたくなるような過去すらも受け容れろ、と。
 そういうことなんだろう、そう思う。

 ……ただ、記憶と体がちぐはぐになってしまうことも、あって。
 大神さんの命日が近付くとやっぱり辛くて、苛立って、情緒不安定になったりもする。
 そうそう簡単に心のコントロールなんぞできねーぞ、ってことか。
 あーあ、だりぃ。
 達観なんぞ、なかなかできねーっしょ。


END


 

 

御柳。
青臭いカンジで。高校生だしね。いいよね。


2007/06/14
(UPDATE.2008/6/19)

 

 

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