【有罪】 巡り会ったことが すでに有罪なのに ふっと、目が覚めた。 喉が乾いているような気もしたけれど、わざわざ起きるほどでもなくて。 天国はそのまま、微睡みに任せてぼんやりと天井を見上げていた。 何となく、首をゆっくりと巡らせて自分の隣りを見やる。 寄り添うように触れているぬくもり、それにそっと視線を送る。 無防備に眠り込む御柳の顔は、起きている時のそれより数段幼く見えて。 思わず、笑った。 幾度か重ねた行為だけれど、未だに慣れるなんてことは微塵もなくて。 快楽の波は、いいように天国の意識も身体も弄んだ。 だからこんなに怠いんだろう、と半分くらい眠ったような意識の中で考える。 あつい、と。 だめ、あつい、しぬ、と。 うわ言のように口にしていたのを、何となく覚えていた。 空調管理のしっかりされた部屋の中で、暑くて死ぬなんてありえないことだろうに。 それでもただ、熱くてたまらなかった。 見下ろしてくる御柳が、顔をくしゃりと歪めるように笑ったのを見た気がする。 笑って、少しだけ苦しそうな声で言った。 そんなら、俺もいっしょに、と。 見上げる首筋から流れた汗が、天国の頬に飛んだ。 「なんでだろ……」 何が、なんでなのか。 自分でも分からずに口にしていた。 ゆっくり瞬いて、それから少し笑う。 今の自分からは、御柳の匂いがしているんだろうな、と。そんなことを思ったらおかしい気がしたからだ。 目の前で穏やかな寝息を立てる御柳の頬に、そっと指で触れてみようとして。 結局、やめた。 窓の外は、きっと夏特有の纏わりつくような熱気が渦巻いているのだろう。 けれど、今ここには届かない。 次の目が覚めたら窓を開けよう。 そんなことを思いながら、天国は瞼を下ろした。 ほんの少しだけ、御柳の方へと身体を傾けて。 END |
えっらい長いこと拍手に置いてありましたこの話Ver.2。 元ネタは歌です。 分かる人いるかなー? ブームの「有罪」 個人的に凄い色ッポイと思ってて好きな歌。 Web拍手掲載期間→2005.4.30〜8.27 |