信じて笑え。



 猫はいなくなった。
 飼っていたわけじゃない。
 何度か相対したことがあるだけの、その中で軽く触れることを許されただけの、世間一般的に見れば何の縁もゆかりもない、猫だ。

 それでも。
 触れたことも、顔を合わせたことも、嘘じゃない。
 過去はなくならない。

 生きているなら。
 もう2度と見えることはなくても、道は遠く離れ、同じ空の下なんて言葉がバカらしいほどの距離にいるのだとしても。
 生きて、いるなら。
 それだけで御の字。

(……本当は。
 本当の所は、猫の安否など分かるはずもなく。
 もしかしたら今頃どこかで冷たくなっているのかもしれないけれど。
 それすら、知る由はなく。
 出来るのは無事を願うことだけで。
 その生を信じることだけで。
 生きていてください。元気でいてください。
 そうして、できることなら、いつの日か。
 ほんの一時でも、道が交わることがあるように、と。
 信じきれるだけ信じて。)



END


 

 



構想中高+新のような。
ちょっと実録も入りつつ。
迷い野良にゃんこと戯れて癒されたのでし。
いなくなっちゃったけど、無事を祈って。
幸せでありますように。


2007/6/8ブログ小話
(UPDATE・07/12/10コメントそのまま)

 

 

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