歪みの国のアリスパロ、の舞台裏(笑)



 ガキン、と耳に響く音。何か、固い物同士がぶつかりあうような。
 一瞬何が起きたか理解出来なかった新八だが、目の前の状況にすぐに我に返った。

「ちょっと何やってんですか、沖田さん!」
「何って…なんで俺がコイツに首刈られなきゃならないんでィ」

 しれっとした顔で返す沖田は、神楽が向けた鎌をいつの間にか手にした刀で防いでいた。
 無論、予定にない行動である。

「そういうシナリオなんだから仕方ないでしょう!」
「いいや、納得いかねェ」
「ぐだぐだ言ってないで、大人しく刎ねられるヨロシ!」
「オマエごときにやる程、俺の首は安くないんでねェ」

 鎌を弾かれた神楽が、後ろに飛びすさる。
 あ、これヤバい。
 思う暇なく、じゃきんと耳慣れた音がした。

「それなら蜂の巣にしてやるヨ!」

 声高に叫んだ神楽の手には、鎌ではなくいつも手にしている傘が握られていた。
 沖田はそれに応えるより早く、前に出ている。
 再度響く、激突音。

「あ〜あ…」

 新八は諦めの境地で溜め息を吐いた。
 寄ると触ると衝突ばかりの二人を共演させるなんて、どだい無理があったのだ。
 最初こそ止めていたが、最近はあれはあれで一種のコミュニケーションなのだと思うようにしている。
 止めた所で次に顔を合わせれば同じことを繰り返すのだ。
 それならば己の身を危険に晒し無益な労力を費やすよりも、ある程度発散させた方がいい。

「二人ともー、セットは壊さないようにしてくださいよ〜」
「合点アル!」
「努力はしてやらァ」

 返った言葉にどれだけの期待ができるのか。
 溜め息を飲み込み、ともかく今はお茶でも飲もうと考えた。
 数分後には溜め息を吐くことになるだろう未来を予想しながら。




END



 

 

 


Web拍手掲載期間→2007.5.26〜2007.10.30

首切りの場面で先に思い浮かんだのはこっちの絵でした。
おとなしく斬られる沖田じゃないよなあ、と。

 

 

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