あかを散らす木に想い出を追う



 何を見ているのか、知りたかった。
 何を考え、抱き、為そうとしているのか。
 夜の闇を見据えるその目が、ずっと追い続けているものが、一体何なのか。どこにあるのか。
 ……それが僕にも、手が届くものなのか。

 あの人、のことが何か一つでも、分かったなら。
 この手が届くような。
 そんな気がしていた。

 落ちる椿を眺めながら、ぼんやりとそんなことを考えた。
 届かなかった手は、もう二度と触れることは叶わない。
 分かっていながら。分かっているから、こそ。
 目の前で、また一つ。
 椿が落ち、ぱらりと花を散らした。


END


 

 



高←新。
沖新に次いで心惹かれるCPだったりします。…またマイナーなのにいくんか…
でもどう頑張っても原作設定じゃ切ない雰囲気になるのよね。当たり前だけど。
そのうちちゃんとしたの書いてみたいな〜。


2007/6/1ブログ小話
(UPDATE・07/12/10コメントそのまま)

 

 

        閉じる