さびしいひとのてのひら



 あの人は、寂しい、のだろうか。
 最初に対峙した時、思い至ったのは。どういうわけだか、そんなことだった。

「望むなら、飼ってやるよ」

 高慢な物言い。人を人とも思わないような態度。
 口も生活態度も極めて悪い。
 それなのに、何故だろうか。
 あの人には強烈な引力のような存在感が、あるのだ。
 ちょっとやそっとのことじゃ抵抗もできない、強い流れのような。

「来い」

 ひらり、伸ばされた手のひらに逆らえるだけの理由など。
 あるはずも、なかった。





思い付き高新。


 

 

 


Web拍手掲載期間→2007.4.10〜2007.5.26

 

 

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