ギャップに弱いのは人の性。

　　　ギャップに弱いのは人の性。

◆銀・沖新・プンジャ眼鏡沖田おめでとうありがとう記念◆

「あ！　ちょっと沖田さん、またですか？」

　沖田は時折、何の前触れもなく新八の眼鏡を奪うことがある。
　当然そうされた新八は途惑い、抗議の声をあげるのだが沖田にとっては些細なもので。
　眼鏡を取るにしても別にそれを壊されるとかそういうわけではないからか、新八もそう強くは言ってこない。
　今だってそうだ。
　まったくもう、と呆れたように言いながら、それ以上追求してこようとはしなかった。
　沖田は新八の顔から奪った眼鏡を何とはなしに手の中で弄びながら、ジッとその顔を凝視する。

「相変わらず地味な顔してらァ」
「その地味な顔も込みで好きな人に言われたくないです」
「おっと、言いやがるねェ」

　絶妙な切り返しに思わず笑う。
　会話しながらも、目線は新八の顔に注がれたままだ。
　急に眼鏡を取られたからだろう、覚束なくなった視界に新八の目線はどこか頼りなげに揺れている。
　姉譲りの(親の顔は知らないからここは姉にしておく)やや大きめな瞳が、まるで逡巡するようにふらふらと彷徨う様子はまるで迷子の子供のようにも見えて。
　新八はまるきり女顔、というわけでは決してないのだけれど、それでもやはりどこか幼い顔立ちをしている。だから今みたいに眉を下げて困ったような途方に暮れたような顔をされると、ますます幼さが際立って見えるのだ。
　庇護欲をそそられると同時に、無垢なものを容赦なく踏みにじってしまいたいような。相反した衝動が胸の内を渦巻く。

　地味ながらも滅多なことでは気圧されないだけの度胸のある新八は、その気質同様眼差しもまっすぐで。だから、人為的ながらも落ち着かなげに視線をうろつかせる様子はいつ見ても新鮮だった。
　新八本人には絶対言えないけれど、やや不安げな表情がＳ心にど真ん中ストライクというか。
　それをもたらしたのが自分だと思うとえもいわれぬ心境に陥るというか。

「……あぁでも、無垢ってわけでもねェか」
「はい？」
「意外とエロいもんなァ新八。いやむしろそこは俺の調教というか開発のおかげってやつかィ？」
「ちょ、何、昼間っからワケの分からないこと言ってんですか！」

　沖田の言葉に、ぎょっとしたように目を剥く。
　次いでその頬が赤くなる。
　おお、いいねェ。理想通りの反応だ。
　口笛の一つも吹きたくなる浮かれた心境で、にやにやと新八の顔を覗き込む。

「嬉しそうに笑うなっ」
「おや、見えるんで？」
「見えなくても分かります！！」

　赤い顔のまま声を荒げる新八は、己の発言がどれほどの殺し文句かなど理解していないに違いない。
　見えなくても分かる、なんて。
　なァ、自惚れちまいますぜ？

「もう、いい加減に眼鏡返してくださいよ」
「んー」
「あからさまに気のない返事してないで、早く」
「どうっすかねェ」
「沖田さんてば」

　煮え切らない返事に業を煮やしたのか、新八がひらりと手を伸ばしてくる。
　だが眼鏡に辿りつくより早く、沖田はその手を掴んで。

「眼鏡してねーとこ見てたら、何か興奮してきやした」
「はあっ？」
「だって上目遣いで顔赤くしてっから」
「何それ！　妄想過大ですよ！」

　大体何で僕に責任あるみたいな言われされなきゃならないんですか理不尽だ！　と新八は慌てて掴まれた手を振り解こうとしているが、些か遅すぎた。
　沖田は握る指に力を込めて顔の高さまで掲げると、ふっと笑って。
　新八がぎくりと肩を強張らせるのを傍目に、掴んだ手、その爪先をぺろりと舐め上げた。

「ぎゃ！　ちょ、ちょっと沖田さんっ」
「まあまあ、ここは若いって元気よね、って事で一つ」
「一つ、じゃねぇんだよちょっとォォォ！！」
「抵抗されると余計に燃えるってなァ、男の性だよなァ」

　胸の内を撫で上げたのは、他の誰でもない君だから。
　逆巻く熱に、一緒に巻かれて？

ＥＮＤ

沖新で沖新で沖新で！
沖新補充したいの。でもこう、補充させてもらってばっかじゃ申し訳ないから自分でも頑張ることにしたの。
…で、結果の沖新がこれっていうのが何ともこう、如何ともし難いわけですが…
今はコレが精一杯。

うはー、まあ良かった今週中に書けた書けた。
眼鏡沖田は出せなかったけども。いや新八の眼鏡を取って欲しかったので書きたい部分は書けたの。
まさか本誌で他の人が新八の眼鏡をかけてくれる、なんて展開になるとは夢にも思わず。(だって同人誌だよね)
それがよもやまさかの沖田であるなんて誰が一体こんな事態を想定したでありましょうかっ！！！
相変わらず銀新だなーと思いつつ読み進めていたら(新八の恋愛フラグを悉く折ろうとする坂田にしか見えないさ…エロメスもそうだったよなある意味)、まさかの眼鏡沖田にプンジャを落としそうになりましたとも。
しかも志村家の庭にいることに対してはツッコミなし。ナチュラルに手書きされていた局長の行方を問うセリフ。
ああもう、本家でこんな、こんな……ッ！

今まで優遇どころか絡みを探すだけで重箱の隅だったのにいきなり爆撃されて大分混乱してます。現在進行形です。
この後の展開がどうなるのかが気になりどころです。
眼鏡沖田はネタだけで来週は出てこないのか。(新八恋愛フラグで)
それともあの写真を送ったことにしてこの後も絡んでくるのか。(その場合沖田恋愛フラグ？)
今までいっそ不自然な程に絡んでこなかった沖新がどうなるのか非常に今後の展開が気になるところであります。
そらちてんてー、沖新でお願いします沖新で。
ていうか何度沖新連呼したかこの記事(笑)
2008/03/12

(UPDATE/2009.4.4)