日々徒然ときどきSS、のち散文
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いらせられませ、奥州筆頭(ミスフル+戦国BASARA)


 バァン、とけたたましい音が俺のすぐ背後から聞こえてきた。
 そのすぐ後に、床に降り立つような音。
 物凄く、何だかものすんごく嫌な予感がするんだが。
 こういう時での俺の予感は大概当たるんだ。当たらなくていいのに。
 振り向きたくねーなー……

 だってアレだよ。
 ものすごく覚えがあるもんよ。
 ついこの間俺自身がタンスから帰ってきたもんなあ、ここに。
 タンスが出入り口って、ナルニアか。

 そもそも俺が今何してるかって、珍しくも絶賛勉強中だったりする。
 野球に燃える高校生活、なんてのを送っちゃってる俺だが、悲しいかな高校生と言えば勉学にも追われる身でもあるからな。
 文武両道、なんてまあ極めるのは無理だけど。
 それでもまあ赤点を取らない程度にはやらないと、部活に出してもらえなくなるんだよな。
 あーあ、哀しいかな学生の性……

「What? なんだ、ここは」

 うおっと。
 しまった忘れてたっていうか現実逃避したかったんだよ俺。
 それもこれも聞こえてきた声で台無しだけどな!
 ていうか誰が来たんだ何かやたらガチャガチャ音がしてんだけど。

「いらっしゃいま、せ?」

 思わず疑問系というか不審げになったのは不可抗力っつーか俺と同じ立場に置かれたら誰でもそうなると思う。
 目の前に居たのは甲冑纏った武者でした、なんてな。
 予想なんぞつくわけねーだろうが責任者出てこぉぉぉい!!!

「あァ? 誰だ、アンタ」

「フツー人に名前を訊く時は自分から名乗るモンじゃねえすかね?」

「あん?」

 …って何思わず勢いに任せて口走っちゃってんだ!
 うーわー……腰に刀ぶら下げてる銃刀法違反上等な人に対して恐れ知らずってーかこの場合それを通り越してアホだろ俺ー……
 いやでも礼儀ってのは大事だろ。
 特に昔の人間ってそういうのを重んじ……うおっ、この人目つき悪い悪い悪い!
 なんか武者ってより……ヤンキーとか族とかそういう匂いがするのは俺の気のせいか?
 あれ……
 おかしくねえ、か。
 何でこの人刀左右に三本ずつぶら下げて……?

「Ha! 言うじゃねえか、面白ぇ。俺は伊達正宗だ。奥州筆頭って方が分かりやすいか?」

「だて…? おう……?」

 ちょ、待て、今。
 何かおかしな単語を聞かなかったか。

「どうした、俺は名乗ったぜ?」

「猿野天国、です」

「あまくに? 珍しい響きだな。字は」

「てんごくって書いて、あまくにって」

「Heavenか。洒落てんじゃねェか」

 ヒュウ、と口笛を吹いて。
 伊達正宗と名乗った武者は、にやりと笑った。
 うわ、何で男前ってのはこういう表情が似合うかね。
 くっそ、ジュノンボーイはどいつもこいつも敵だっつのに。

 ……じゃなくて。
 右目の眼帯といい、この特徴的な前立てといい。
 何より名乗ったその名前。

「だ、伊達正宗ー?!!」

「うお、何いきなり叫んでやがるテメエ!」

「ま、マジっすか。ちょ、どーなってんだ」

「そりゃ俺のセリフだ」

 あ、つっこまれた。
 いやもう、ホント何なんすか。
 今度は戦国すか。

 うちのタンス、何か憑いてんだろうか。
 呪われてるとしか思えないというか。
 しかも何が問題かってさ。
 俺、段々この状況楽しんでやろーとか開き直ってきちゃってんのよ。

「えー……と。説明、しますんで。お茶とか、飲みます?」

 ま、起こっちまったもんはしゃーないし。
 こうなりゃトコトン付き合ってやろーじゃねーか。この状況に。
 人生ってーのは、楽しんだヤツの勝ちだし。

 先ずは、お茶かな。


END



UPDATE/2007.3.27(火)

以前に書いた「タンス イン ワンダーランド」と同系統。
というかむしろ話としてはこっちが先。
金沢の好き勝手やっちゃう萌えをミックスシリーズ。

ここ最近バサラ2をごりごりっとやってるんで奥州筆頭。
あんまり喋らんかったけど(笑)