日々徒然ときどきSS、のち散文
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2004/10/11(月)
SS・+なお話]広がる広がれ友達の輪!(ミス振り)


 某月某日、とあるスポーツ用品店の前にて。


「もしかして……凪ちゃん?」

「はい?」


 呼ばれ、振り向く。
 目の前に立っていた、予想外の人物に。
 凪は目を丸くした。


「千代ちゃん!」





  広がる広がれ友達の輪!





 柔らかそうな栗毛色の髪に、快活そうな笑顔と、ハキハキとした喋り方。
 西浦高校野球部マネージャー、篠岡千代だ。
 千代の目の前に立つのは、黒髪を頭の後ろにお団子に結い上げて眼鏡をした、柔和そうな表情の少女。
 十二支高校野球部マネージャー、鳥居凪である。


「わー凪ちゃん、ひっさしぶり!!」

「ええ、本当に! メールはしてましたけど、顔を合わせる機会ってなかったですもんね」

「ねー。あ、これって十二支の制服? いいなあセーラー、かわいいなー」

「そういえば西浦って私服でしたっけ」

「うん、そうだよ。女子は結構制服っぽいの着てたりするけどね」


 きゃいきゃいと盛り上がる。
 いつでもどこでも、女のコが盛り上がるのに制約はない。
 そこでふと、凪の後ろから声がかかった。


「凪ー、知り合いか?」


 凪と一緒だった清熊もみじだ。
 もみじの隣りには、今日も猫神様を抱えた檜が立っている。
 声をかけられた凪は、紹介しますね、とにっこり笑った。


「西浦の野球部でマネージャーやってる、篠岡千代ちゃんです。中学の時のソフトの大会で知り合ったんですよ」

「篠岡です。初めまして」

「十二支でマネージャーやってる、清熊もみじ。よろしくな」

「猫湖檜、です……」


 場所は違えど、同じ立場だ。
 同じスポーツを愛し、それに尽くすもの同士。
 初対面だけれど、何となく近親感を覚えてしまう。

 仲良くなるのに、大仰な理由なんていらないのだ。
 何となく気になるとか、共通点が見つかったとか。
 そういう何気ないところから、友達の輪ってのは広がっていくものだから。

 蒼い青い空の下、無限に広がる輪に幸あれ!



END




▼オマケ▼


「千代ちゃんは、買い出しですか?」

「うん、そうだよ。もう帰るトコなんだけどね。監督が領収書切ってもらってるんだけど……」

「千代ちゃんお待たせ! …あら、友達?」

「あ、はい。十二支のマネージャーさんなんですよー」

「十二支って、猿野君のトコか。こんにちは」

「こんにちは。あの、猿野さんのことご存知なんですか?」

「ん? ああ、うちのエースと仲良くしてくれてるからねー」

「そうなんですか」

「へえ……(猿野って無駄に人脈広いよな……)」

「世界を広げるのは主役の役割且つ特権、かも……」

「何か言ったか? 檜」

「猫神様のお告げ、かも……」




オマケはホントオマケってか蛇足みたいな。
どうしても猿を出したいのかおまいはよ、みたいな。
女のコばっかり。
書いてみたかってん。好きやねんて。

UPDATE/2006.3.15(水)