日々徒然ときどきSS、のち散文 |
2004/10/10(日) |
[SS・+なお話]人生は予期せぬことばかりに満ち溢れているものだ・4(ミスフル+銀魂) |
神楽はこの辺を案内するのだ、と言って朝食が済むなり天国を外へ連れ出した。 勿論、愛犬定春も一緒だ。 物珍しげに辺りを見回しながら歩く天国は、今は新八から借りた着物を着込んでいる。 昨夜こそ見慣れない服を着ていたけれど、こうして着物を着てしまえば別次元から訪れた人間だなんて誰も気付かないだろう。 ……まあそもそも、多少珍しい格好をしていたところでまさか別次元の人間だ、などと思い当たるような奴の方こそ頭がどうかしているのだろうけれど。 「江戸だな〜……」 「む? 天国の住んでるトコにも江戸があるネ?」 「え、や、何て言えばいいかな……俺の住んでた世界の昔がさ、こんな風だったらしいんだ。着物とか長屋とか、実物見られる日が来るとはな〜」 「ふーん」 「あ、でも何だっけ、宇宙人…あ、まんと? は居なかったってさ」 慣れない言葉に眉を寄せながら、天国は言う。 神楽が朝ご飯を食べる間(起きるのが早かった新八と天国は神楽と銀時が起きた時には既にとっくに朝食を済ませていた)、テレビのニュースを見ながら色々驚いていたようだった。 そういえば新八がやけに機嫌がよさそうだったのは、おそらく天国の所為なんだろう。 味噌汁は天国が作ったのだとか言っていたのを思い出す。 ニュース見といて良かったね、予備知識なかったら街中で絶叫してたって俺。 そんなことを言いながら、天国は笑っている。 楽しげだけれど、それでも。 何となく、違和感のようなものがある。 違和感というと語弊があるかもしれない。 言葉に表現しづらい、抜けない棘を気にしているかのような、何か。 途惑いとか、世界からの疎外感とか。 どれも当たりのようでいて、どれも違うような気がする。 壁、とでも殻とでも言うべきか。 けれどそれは、柔らかく暖かい。 触れても痛みは感じないようなもの。 「天国はやっぱり、帰りたいアルな」 唐突に切り出した神楽に、天国がきょとんと瞬きをする。 一瞬訪れた沈黙の間に、定春の爪が地面をこする音がテンポよく響いた。 ジャッ、ジャッ、ジャッ、と。 「そりゃまあ、生まれ育ってきた場所だし。あ、でもさ」 少し困ったような顔で、天国は首を傾げた。 頷きと否定、両方が混ざったような曖昧な仕草。 それから照れた様に視線を地面に落とす。 睫毛が、結構長い。 「淋しくはないから。ありがとな、神楽ちゃん」 俺、見つけてくれて。 「……見つけたのは定春ネ」 「ははっ、そっか。じゃーありがとな、定春」 笑って、定春の頭をぽんぽんと叩く。 定春はすん、と鼻を鳴らしたがそれだけだった。 元々天国を見つけたのは定春なのだ。それは事実。 狗神、というのは土地の龍脈がどうのという話を、定春の元飼い主だという巫女姉妹がしていた(ような気がするが神楽は興味なかったので話半分にしか知らない)。 だから、なのかもしれない。 別次元から訪れたという天国を見つけたのは。 だけど、多分。 それだけじゃない、と思う。 誰が何て言おうと、定春は優しいから。 自分たちが見つけなければ、一人きりになってしまう天国を、放っておけなかったのだ。 一人、その淋しさを知っているから。 「万事屋が解決できなかった仕事はないアル。天国は大船に乗った気持ちでいるがヨロシ」 「うん。お任せしました、万事屋さん」 「任せるネ!」 大丈夫。何とかなる。 とりあえず今は、天国を連れて駄菓子屋にでも行こうと。 足取りも軽く、歩を進めることにした。 淋しくは、ない。 その言葉がやけに暖かく耳に残って。 酢こんぶを買ったら天国にも分けてやろうと、そんなことを考えた。 END アリスinワンダーランド。 ならぬ天国in銀魂ワールド。 無理矢理まとめた感がなきにしもあらずですが、ひとまず終了でございます。 この話、元ネタは私の見た夢でした(笑) DSプンジャゲームを買ってやりまくった直後か最中に見た…ような気が。 プンジャの漫画はプンジャワールドとかいうので繋がってるんだよーん、ていう話じゃないですか、あのゲームって。 なので多分そこから妄想が広がったんだと思います。 夢の中では私は神楽ちゃんで(笑) やっぱり天国を見つけて連れて帰るわけです。 で、天国を万事屋で面倒みたいというか、飼いたいというかって言い出して。 天国は違う世界から来た所為か、言葉が通じないんですよ。(この話では収集つかなくなるのと難しくなるので言葉共通にしちゃいましたが) まあ全然通じないわけではなく、日本語と英語みたいな差があるというか。 簡単な言葉は何となく分かるんだけど、みたいなニュアンスで。 んで、神楽ちゃんて訛りがあるじゃないですか。 それが天国にとっては聞き取りづらいらしくて度々「??」って感じなんですよー。でも女のコには優しくしなきゃ、な感じで分からなくてもちょっと困った感じでにへら、て笑うんです。 それがもう、かわいくてかわいくて!!! 自分、神楽ちゃんの筈なのに年上なはずの天国に「かわいー!」って何度も連呼してた記憶があります……(爆) 万事屋に世話になるんで着替えを借りる時、銀さんの着物借りるんだけどだぶだぶで。 「あーやっぱ大きいね…」 「マダオ臭するかもしれないけど我慢アル!」 「ちょっとちょっとォォォ?! 何で貸してる俺がこんないたたまれない思いしなきゃなんないわけぇぇぇ!」 っていう会話とかもありました。 この夢見た時は銀魂コミック買ってなかったんで設定とかイマイチ理解してなかったんですよねー。(てゆっか今は持ってるんです か) 新八が泊まってくこともあるらしい、というのを知ったのでこの話では新八の着物を借りたことにしちゃったわけです。 泊まったり、とかだったらまあ着替え置いてあんだろー、と。 でもこのエピソード好きだったからいれたかったなー(だぶだぶ服はマニアです) …という。 いやー、妄想マシーンフル稼動ですね金沢! 寝てる時までか! みたいな。 思えば銀魂が気になりだしたのはこの夢の影響も多々あるような…… 主役のはずの銀さんが出番少ないのは私がこの御方をイマイチ読み切れてないからでございますすんません。 ルフィと一緒だよ…モノローグがあんまない人は何考えてるか掴みにくいから書きづらいのでございまさァ…… UPDATE(1〜4話)/2006.1.27(金) |