日々徒然ときどきSS、のち散文 |
2004/07/31(土) |
[ライヴ]曇天の空の下 |
台風の通り過ぎた後の空は不安定だった。 雲の切れ間に白い光が見えたり、どんより灰色に染まった雲から雨が零れ落ちたりとひどく気まぐれにその様子を変えた。 さわさわと吹く風が頬を、髪を打つ。 時折、耳元を唸るようにして音を立てて風が通り過ぎる。 強い風に押し流される雲は、早足で駆け抜けているようだった。 入り口から会場に向かう。 歩きながら、セットらしきものが見えてきた。 思っていたよりもずっと大きい。 今まで見て来た中で、一番大きなセットだった。 それが裏側から見ている光景だと気付いたのは、本当に間近まで行ってのことだった。 ジェットコースターを模して作られたセットの、真ん中にモニターがあった。 円形のそれに、なんだかどきどきした。 取材用だろうヘリがばらばらとプロペラの音を立てながら頭上を回っている。 低空になると、落ちてきそうだと思った。 それが少し怖いのだと、あたしは笑いながら言った。 ヘリは途中で台数を増やし、4台になったりもした。 音が近付いてくる度に空に目を向けている様子は、周りからはバカみたいに見えたかもしれない。 10万人、という数は未だに大き過ぎて実感が湧いていない。 だけど、あの時あたしは確かにその中の一つだった。 大きなうねりの中、その渦の中に確かに居た。 それはなんだか、凄いことだと。 音の洪水にぽわーっとしながら、そんなことを考えた。 (7/31、GLAY EXPO2004参加後。手帳にメモってあった単語より。書いた日8/1) ※メモ単語→曇天、風、会場〜セット、ヘリ4台、10万人のうねり |