日々徒然ときどきSS、のち散文 |
2004/07/29(木) |
[SS・ミスフルパラレル]君の鼓動、僕の武器(犬猿パロ、猿視点) |
「俺な。今、世界で一番強ぇんだってさ。嘘みたいだろ?」 「俺のさ、俺の……心臓の音はしなくなったけど、代わりに聞こえるようになったもんもあるよ。何かって? テメーのな、心臓の音、だよ」 「優しい音だよ。テメーの心臓の音。聞いてて、安心する。自分じゃ、分かんねーだろうけどさ。だから俺、その音を追ってんだ。どこにいても、何をしてても。その音が聞こえる限り、俺は大丈夫だって。テメーのその音の傍にいたいから、その為に、帰ってくる。いつも」 「俺の心音、なくなっちまったけど。でも、まだ、生きてる。生きて、テメーのこと思ってる。なあ、それってさ。それってよ? 生きてるって、言ってもいいよな?」 「世界でいちばん、ならさ。テメーみたいなガン黒ワンコくらい、守るの簡単だよな、きっと」 「俺の傍にいてくれなくなっても、いいよ。恨まない。だって俺兵器だもんな。怖いよな。俺だって怖えもん。けど、そうなっても、さ。俺が、テメーを守ること、ぐらいはさ。許してくんねー?」 望むのは、多くじゃない。 ただ、その傍らにいたいのだと。 人にあるまじき力を兼ね備えた、誰よりも人としての儚い心を持った、最終兵器。 天国は、隣りに立つ恋人の手を握り締めながら、人じゃなくなった筈なのに、何故こんなにも胸が痛むのだろうかと、ぼんやり考えていた。 「いぬかい」 子供のような声で、呼ぶ。 「ここにいてくれて、ありがとな」 そう告げた時の犬飼の顔は、逆光でよく見えなかった。 犬飼編(2004/7/30)と対になっている話です。 最終兵器彼女が元ネタです。 web拍手お礼用だったのですが、うっかり二部構成になってしまったので日記に書くことに。 ネタメモを二つに分けて書いてしまったのが敗因の模様。 でもサイカノ好きなので自分的にはよし!(反省しろちっとは) |