日々徒然ときどきSS、のち散文 |
2003/12/08(月) |
[散文]どれもこれも。(愛のかたちについて) |
好きなもの、好きなひと、好きなこと。 それはすなわち自分の心にとって気持ちいいこと。 己の中に組み込んでしまいたいこと。 けど好きになる気持ちと同化してしまいたい気持ちは 多分違うんだ。 気に入ることと同じになりたいと願う気持ちは 似てるようで違うベクトルが働いていると思う。 アンタが信じているものを アンタが信じているのと同じようには信じられないよ。 悪いけど。 すまないなとは思ってはいるんだ、いつだってね。 けどそれは誰が悪いわけでもないとも思うよ。 仕方ないことで、当然のことなんだろうってね。 だってそうだろう? どれだけ近くにいようと どれだけ同じものを見ていようと お互いに別の存在なんだから。 それは孤独とは全く別の 個としての存在としては切り離しようのない事実なんだ。 血の繋がりとか、 心の繋がりとか、 そういうものを否定するつもりじゃないけど。 でも人はやっぱりどうしたって 「個」であり「孤」なんだろうと思うよ。 否定的でも絶望的でも投げやりでもなくね。 ただ事実は事実として、そう思うよ。 好きな人が好きなこと、好きなもの。 そういうのを自分も好きになれれば嬉しいけどね。 自分の好きなことを他の人が好きだって いいねって言ってくれれば嬉しいけどね。 でもそればっかりじゃないのも本当だからさ。 アンタが好きだと思ってることを、 ごめんな、俺は本当は好きじゃないんだ。 キライなワケでもないんだけどね。 ただ思い出すのがイヤなんだよ。 どうしたって思い出さざるをえないことがあるから。 それに直結してるわけじゃないことぐらい、 頭では理解してるんだけどね。 でも心が納得してくれないみたいでさ。 アンタは気付いちゃいないと思うよ。 気付かれないようにしてるしね。 別に責めたいわけじゃない。 恨んでなんて勿論いないよ。 ただ、どうしようもない心を 持て余してるだけだから。 好きになれないことは、 どうしたって好きになれない。 これでも努力はしたんだけどね。 そうは見えないって他人からは言われるかもな。 でもどうしようもないことって やっぱりあると思うんだ。 ああ、ごめんな。 悪いとは思ってるんだ。 でも心に嘘はつけないからさ。 信じられないものは信じられないし。 好きになれないものは好きになれない。 でもアンタのことは好きだよ。 それさえ伝わってくれればいい。 昔はさ、好きな人とは 同じものが見たかった。 同じ目線で同じものを見て 同じような心地を得ていたかった。 でもそれって違うかなって思い始めてさ。 勿論そういう形を愛って呼ぶ人、 考える人もいるとは思うよ。 それまで否定する気はないし。 ただ、俺はそうじゃなかったってことで。 俺の考える愛のかたちってのは、 同化するという行為には繋がらなかったってこと。 キスも抱擁も、セックスもキライじゃないよ。 あったかいし、気持ちいいから。 でもそうしたって一つの存在になんてなり得ないだろ。 使い古されたラヴソングの文句みたいだけど。 存在として「個」と「個」であるからこそ、 そういう行為に及べるんだろ。 繋がってたって一つにはなれない。 そんなの知ってるよ。 抱きしめあっても意識は2つなんだってことぐらい。 そんなの知ってるよ。 分かりすぎるくらい分かってる。 けど、だから好きだとか愛だとか、 そういう感情を抱くのは大変なことだと思うんだ。 奇跡みたいだってさ。 実際人が抱く感情ってのは どれもこれも奇跡的だって言えると思うけど。 誰かを 何かを 気に入ったり 好きになったり。 そういうのは単純なようでいて 凄く難しくて純粋なんだろうってさ。 話が長くなったけど、 結局何が言いたいかってさ。 ちゃんとアンタが好きなんだよってことなんだけど。 |