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日々徒然ときどきSS、のち散文
過去の日記カテゴリ別

2003/07/05(土)
[SS・ミスフル]LUV 4 U(芭猿)



 ぱちん

 ぱちん

 ぱちっ

「いでっ」

 あーあ。何やってんだか。





   
LUV 4 U






「爪切りごときで何で失敗できんのか、俺はそれが知りたいね」


 大げさに溜め息を吐きながら、御柳は立ち上がった。
 片手にはティッシュの箱、もう片手にはバンドエイドを持って。
 御柳の言葉を耳にした途端、爪を切っていた背中がびくりと震えた。

 それに構わず、天国の隣りにどかっと座り込む。
 そうして、不遜な態度で天国に手のひらを差し出した。
 手のひらを付きつけた瞬間、天国が身を退きたそうに膝を震わせた。

「見せてみ」

「別に、大したことな」

「少しの怪我でも気ぃ遣え。そーいう意識を持つとこから、っつったっしょ」

「うぅ」

 諭すように畳み掛ければ、天国は唸りながら右手を差し出してくる。
 右手の薬指、爪の端。
 僅かに深く切りすぎてしまったらしい其処には、血が滲み出していた。

「んだ、そんな深くねーじゃん」

「だから大した事ないつったじゃんかよ……」

「あんな痛そうな声出したくせに」

「し、知らねぇよ、そんなん。てかバンドエイドなんか貼るなよ? これぐらい放っておくほうが早く治る」

 御柳の手にあったバンドエイドを見たのだろう、天国が眉を寄せながらそう言う。
 ああ、しっかり見てる部分は見てるのか。
 そんなことを考えながら、御柳はティッシュを一枚引き出し血を拭った。
 鮮やかな真紅が、薄紙に吸われていく。
 紙に吸われた真紅は、じわじわと広がってその色を薄くしていった。


「……何、じっと見てっけど」

「いや、血の色見てた」

「んな楽しいもんか?」

「勿体ねーなーと思って」

 御柳の言葉に、天国が顔を引き攣らせた。
 何言ってんのお前、と言いたげに。
 思ったままの反応を示す天国に、御柳は楽しげに口元を緩ませる。

「んじゃ、消毒」

「うぎゃっ! 思ったまんまのことしてんじゃねえよっ」

 ぺろり、とひらめく舌に薬指を舐められる。
 生暖かい感触に、天国は悲鳴をあげていた。
 手を引こうとするが、存外強い力で掴まれているらしい手は、動いてくれなかった。
 そうこうしているうちに、御柳の舌は薬指の爪の先からゆっくり付け根へと滑っていく。

「こ、こら、おい!」

「んー、鉄くせぇな、やっぱ」

 ふっと目を細めながら言う御柳に、天国はもう何を言っても無駄だ、と脱力した。
 そんな天国を見やり、御柳は楽しげに笑う。
 ひとしきり思うように堪能してから、御柳は天国の手に這わせていた口を離した。
 やっと終わったか、と息を吐く天国に、けれど御柳は何か考え込むような表情で。

「…まだ何かあるんでございましょーか?」

 投げやりに問うと。


「でも、なんーか、甘い。お前だからかー?」

「……は?」

「なんつーか俺、お前にベタ惚れな感じだなー」

「も、もしもし?」

 返答に、思わず御柳の顔を覗き込んだ。
 いつになく真剣な顔で、何を言い出すのかこの男は。
 思わず天国が訝しげな表情になると。
 唐突に御柳が、笑った。

 効果音をつけるならさしずめ、にへっ、とかへら、とかいう笑い方で。
 それはもうとにかく、普段の俺様何様芭唐様、な態度からは想像も出来ないような。
 なんだかとにかく幸せそうな、安心しきった子供のような、そんな笑い方だったのだ。

「むっちゃ好きってことっしょ。これって」

「み、みゃあ?」

 きゅう、と抱きしめられて。
 驚いて動きを止めた天国に、御柳はお気に入りの人形にそうする子供のような仕草で天国の髪に頬を押しつける。

「やべ、なーんか幸せかもしんねー」

「……」

「あ、傷平気かー?」

「……平気。全然。余裕」

 それよりもこの熱の方が大問題デス。
 内心呟きながら、押しつけられた胸元に自分から額をくっつけた。
 鼻腔に広がる、御柳の匂い。

 一方の御柳も。
 腕の中に抱え込んだ天国の頭に、言い様のない思いを抱えていた。
 剥き出しにした心に、直接触れられているような、触れているような。
 危機感を覚えなければならない状況であるはずなのに、それをどうにも心地いいと思う自分がいる。

「あーまくにー?」

「……何」

「俺のこと、呼んでみー?」

「……みゃあ」

 ここで芭唐、と呼ばないのが天国の天国たる所以、とでも言うか。
 けれどそう返ってくるのは予測してたのか、御柳はふっと笑う。
 腕の中に抱え込んだ天国の頭を、くしゃくしゃと撫でて。

「俺、お前にそう呼ばれんの好きなんだよな、結構」

「物好きだことで」

「人の事言えないっしょ」

「……だろうな」


 つまりはまぁ、戯れるわけだ。



 ◇END◇










強化月間どこ行った(笑)
いやもう、自分の書きたいもの書かないとな。
ってかそんなに芭猿好きか自分。大好きだ。
あ、完結しちゃったよ。

タイトルは「ラブ・フォー・ユー(LOVE For You)」っすな。
らぶっすよ。
地球はラブっす。

いやもうすんません。
ラブなの書きたくなるんよ、時々……
何故だか、発作のように。

とか言いながら自分の書く話って大概甘いって言われんねやけど。
本人そんな気ないんすけどねー。
どーなんやろ。
あんま感想とかもらえへんから分からんわ。
や、カキコ強制とかは絶対せぇへんけど。そんなん言えるほど自分の話が素晴らしいもんだとは思えへんし。(そんでも好きやけどね。話が、じゃなくて書くのが)

せやけどなー。
やっぱなー。
他人様の反応が欲しい時も、やっぱあんねんなー。
やって人間やもん。
そういうの全然ないってーのがおかしいっしょ。
や、自分そういうの薄い方だとは思いますけどね(自分で言うな)。

そんでも時々思うわけっすよー。
てかネット間引きこもりのくせして何を言うか。
自分からまず行け、自分から。

いやーそれは分かっててもねー。
好きサイトさんほど書き込みできんのっすよー。
やってむっちゃ緊張するんすもん。
「嫌われたらどうしよう!!」
「引かれたらどうしよ…」
とかとか考えちゃってダメなんすー!!

うう、もっと勇気が欲しいよどらえ(強制終了)


てーかうちのサイトさぁ。
更新少ないのって絶対日記にばっか書いてるからだよな。
日記見てはる方ならええけど、知らん人はえっらい亀やなコイツ。
て絶対思ってはるよな。
いや、自分でそう思うもん(ダメじゃねーか)

自分がな、日記覗く人だからな。
そんでついつい日記に書いてまうんやわ、きっと。
つか日記まで見てくれた人へのサービス、みたいなね(笑)

ああ、芭猿書いてすっきりした。
次の企画キャラは誰にしようかな。
てかキャラ多いから未書きの人なんてようさんおるわ……