日々徒然ときどきSS、のち散文
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2003/06/13(金)
散文]光のようになりたかった



満月。



月が欠けていく。

月は好きだ。

昔から。

狂わされそうな魅力と、

何もかもを包み込む光とに、

惹かれてやまない。


月が好きなのは、

直視できるからだ。

まじまじ見つめても、耐えられるからだ。

逃げないで受け止めてくれるからだ。


月は人を狂わせる力を持っているのだそうだ。

本当かどうかは分からない。

けど、あの光を浴びていればそれも分かるような気がする。

身の内の衝動が呼び起こされるような。

咆哮が耳に聞こえるような。

何の、かは分からないけれど。


満ちた月は欠けていくばかりだ。

心は埋まらない。

伸ばした手は届かない。

何に向かって伸ばしたのかすら、

分からない。


欠けていく、

欠けていく。

欠ける月に合わせて

壊れる。

カラダと、心とが。


この心は満たされない。

欲しいものすら分からないのだから。


飢えていることにすら気付けない、

身の内の衝動は、

月の夜の咆哮は、

この心の片隅に在る、

獣の牙にも似た。



傷つけるなら、いっそ自分を。


それすらできない満月の獣は、

ただ吠えるしかない。

虚しくあがいて。

届かない声を張り上げて。

立て。

顔を上げろ。

上を見上げろ。

そこに在る。

もう。

それだけでいい。



この腕も

目も

鼻も

口も

耳も

脚も

すべて。

あげてもいいから。

どうか、

ひかりにしてください。


無理な願いだとは分かっていても。

今夜も

ただ

月に吠えるしかない。










…………月のな。
狂気みたいな。
そういうんを書きたかったんよ。
つかぶっちゃけアッシュをイメージして書いてたんだよ(←ハマッたのかてめー)。
そしたらなんか違うもんになっちゃったーい。

でも、月は好きだ。
身の内の狂気をかきたてられる、それも含めて。
ひきづられそうだー。

癒しにも狂気にもなる、あのひかりに。