日々徒然ときどきSS、のち散文
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2003/05/15(木)
SS]ねえ……、(ナルト/我サク)


「我愛羅」


 風が冷たい。
 ねえ、帰ろうよ。

 呼んでも答えないのは、いつものことだけど。
 振り返るぐらいは、してよ。
 寂しいじゃない。

「我愛羅」

「…………」

 返って来るのはやっぱり沈黙で。
 でも、振り返らないまま手招きされた。

 た、と地面を蹴って。
 我愛羅の隣りに行く。
 木の枝が、少し。
 しなって、木の葉がざわざわと音を立てた。

「ねえ、寒くなってきたよ」

 言外に帰ろう、と含ませて。
 でも、我愛羅は何も言わずに。
 その顔を覗き込んだら、いきなり。

「っ、わっ…!」

「これだけ体温高いくせしてか」

 腕を掴まれて、引き寄せられた。
 我愛羅は小柄なのに(って言うと機嫌悪くするけど)、
 その力は結構強い。
 まぁ忍びの世界にはそんなの珍しくもないことなんだけど。

 引き寄せられて、そのまま我愛羅の膝の上に乗せられた。
 背中に回った腕が、あったかい。
 そのまま、我愛羅の頭に自分の頭をこてん、と凭れかけてみた。

「あったかいね」

「お前がな」

「我愛羅もあったかいよ」

 何だか楽しくなって、笑いながら我愛羅の背中に腕を回した。
 笑ってるのが分からないみたいで、我愛羅が不思議そうにしてたけど。
 いいじゃない、こうしてるだけで嬉しいって。

 ねえ、しあわせってこういうのじゃないかなぁ。


 なんだかね。

 あったかくて、泣きたくなるよ。


「我愛羅。いっしょに逃げようか」

「珍しいな。そんなこと言うの」

「なんとなく、そんな気になったの」

「月が出てない夜だからな」



 ねえ。

 いっしょにいたいだけ。

 それだけなの。



◆END◆






す、すいませ…(平謝り)
自分だけが楽しい我サク。
っつか我愛羅が好きなんだよ〜。
NARUTO内しあわせになって欲しい子NO.1です。(お前だけじゃ)
なんとなく書きたくなったので。