日々徒然ときどきSS、のち散文 |
2002/08/18(日) |
[散文]神様の居場所 |
神に祈りなさい、と大人は言った 神様はどこにいるの、と子供は聞いた 神様の居場所 神様を信じ、祈る心に神様はいるのだと大人は返した だから、信じて祈りなさいと 子供は黙って大人を見ていた 大人が狂信者の如く祈る姿を 自分の存在を忘れたかのように ただ必死に祈るその背中を 大好きだった暖かい背中は 別人のもののように小さく見えていた 信仰心は人を救う けれど時としてそれは誰かの心を引き裂くこともある 生きていればそんなことは多々あるけれど 子供は大人の背中を見ながら考えた 神様が信じる心にあるのなら 祈りはどこへ向かうのだろうと 信じる心は己の中にあるものなのだから 結局祈らずとも同じなんじゃないかと 道は己で切り開くもの 祈る心は否定しないけど それだけじゃ何も変わらない 信仰心は、人を救う? 子供は立ち上がる 己の足で歩き出すために 大人の背中を見ながら 自分の夢を追う 信仰心は、人を救う? そうなる人もいるかもしれない、と子供は呟いた けれど自分はそうではないと 信じるべきは己の心なのだと 諦めるな 前を向け 強かなまでの貪欲さで 世界の理を知れ 何かを追い続けるそのひたむきな情熱こそが 己の信じるものだと 神はいない 例えいたとして それは己の心の内にだ 呟きは風に流され けれど子供の心に消えない何かを残した |