日々徒然ときどきSS、のち散文 |
1981/01/21(水) |
[散文]「、、、握り潰された。」 |
どれだけ 綺麗事を行っても どれだけ 前を向いていても 時折どうにも抑えきれない 昏い感情がこの胸の内を支配する 天使になれない自分を どうにも自覚する けれどそれすら 嘲笑えてしまう そんな 酷く冷たい心になる そんな時がある ふとした瞬間に そんな心地が訪れる 悪魔とだってワルツを踊れる そんな気分になることが ごめんなさいね タイミングが悪かったのよ それともこんな心地になったのは それが原因なのかしら? 分からないけれど 急いでいたのかしら それとも感情的になって 震えてでもいた? ポストに投函されていた メモの切れ端 ねえ そんなにも切なる思いとやらを伝えたいなら せめてもっとマシなものに書けなかったの? こんな紙きれに何書かれても チラシに紛れちゃえば分からないじゃない そんなゴミみたいな紙に 刻まれていた文字は ひどく歪んだ 読みにくい文字だったわ どうすればいいかわからない なんてあったわね あたしはそれに嗤ったわ 声をあげてね 誰も周りにいないのに ねえ 小学生でももっとマシな字を書くわよ 漢字だってもっと使ったらどうなの? 不安ばかり見せつけて ぶつけて 同情でも誘いたいの? おあいにくね そういうの あたしのスタイルじゃないのよ 遠回しな言葉じゃ分からないの たとえ分かったって 知らないフリを決め込むわ 言いたいことがあるんなら 単刀直入に言って頂戴 これだからあたし あんたが好きになれないんだわ 今なら極上の笑顔付きで 言ってあげるわよ 「大嫌い」ってね だってあんた分かっててやってるんでしょ? こんな風にしていれば こんな態度をとっていれば こんな言葉をぶつければ 可哀想だと思ってもらえるって 相手にしてもらえるって 計算ずくなんて虫唾が走るわ まだ何も知らない方が性質がいいわよ 頬を伝う涙を拭いながら そっと様子を伺うなんてよして頂戴 ねえ だからあたし 握り潰したの どうしてもゴミにしか見えない メモの切れ端をね ぐしゃりと握って ゴミ箱に放ったら それはすぐに見えなくなったわ その時のあたしはね きっとすごく ひどい残酷なカオをしていたんだと思うわ 確認はしてないけどね あたしはあたしがいい人間だなんて思ってないわ そんなの自覚してる でもあんたよりかは幾分かマシよ 「どうすればいいかわからない」? ならカンタンよ 教えてあげる そこでずうっと迷ってなさい すくってなんて あげないから (2004.1.21) |