日々徒然ときどきSS、のち散文 |
1981/01/05(月) |
[散文]言葉の波の合間に僕は真意を模索する |
「真実。」 曖昧で分かりにくくて 不確かで不誠実で あるのかどうかすら分からない それに 僕はみっともなくも縋っていたんだ 「理解。」 あるかもしれない でも ないかもしれない そんなものを 暗闇で落としてしまった ピアスの片割れを 手探りで探すみたいにして 僕はただただ あの人が好きだったから 分かりにくくて 冷たくて 天邪鬼なひとだったけど それでも好きだったから あのひとの放る言葉から 分かりにくい 沢山の言葉の山から 真実を探したくて 見つけたくて 理解したくて 「模索。」 僕は何が欲しかったんだろう あの人の言葉かな 笑顔かな 心なのかな 今でもそれは分からないまま だけど一つだけ言えるのは どうしても触れたかった 一緒にいたかった 使い古した言葉だけれど ただそれだけなんだ 声をください 一言だけでも 「焦燥。」 憧れていた 焦がれていた 恋がれていた 残酷なまでに その想いが あの人に伝わっていたのかは 今でも分からない だけれど あの頃に抱いていた 狂気みたいな想いは 思い返してみると 少し怖い 切ないまでに 壊れるほどに 一人に気持ちを向けていた 伝わらないそれに 殺意にも似た気持ちを 抱いてしまうほどに 「欺瞞。」 知っているよ あの頃にも ちゃんと気付いてた あの人が ただ優しいだけじゃないなんて 知ってたよ だけどさ 多分おあいこなんだろうな 僕もあの人を利用していた部分もあるし その逆も然りなわけだし ごめんな 追いかけていたいだけだった 届かないものを 追いかけていたかった 子供みたいに それが あのひとを傷つけていたんだろうって 今なら分かるのに 「言葉。」 そんなこんなで 今日もまた 飽きもせず 凝りもせず 一人言葉を弄る日々 今なら 貴方に投げられた言葉の数々 それを解することもできるんじゃないかって おこがましくも そんなことを考えながら やっぱりまだ 上手くは綴れない 言葉も 想いも それでもいつか いつの日にか 貰った言葉を 解することができたのなら 次は笑顔で 会えるかもしれない そんなことを考えて 今日もまた 僕は一人模索する (2004.1.5) |