落ちる瞬間



いつもの買い物の帰り道、捕物をしている沖田さんに出会った。
やっぱりバズーカを担いで飄々と店に向かって撃ち込んでる…

あーあ…又お店が爆破されたよ…あそこの喫茶店、結構行ってたのに…

その喫茶店の中から、コントみたいに焼け焦げてアフロになったりした人達がよろよろと出てくる。
そして、めげないで抜刀して、真選組の人達に斬りかかって行く。
でも、真選組の隊士の皆さんはやっぱり強くて、飛び出て来たテロリスト(?)達はどんどんお縄についていく。

…あ…1人逃げた…

瞬間光る銀色。
沖田さんが抜刀する。

…なんか変な感じ…いつもの沖田さんじゃない…真剣な横顔が、怖いぐらいに綺麗だ…

抜刀したまま音も無く走りだし、あっという間に追いついて、舞でも舞うようにくるりと刀を反す。
たったそれだけで、逃げていた男の人は膝を折り、その場に崩れ落ちる。

…殺して…しまったのかな…?でも、返り血は浴びてない…イヤ、斬ってないのか…打ち据えられただけで、アノ人は倒れたんだ…そんなに力入れてないよね…アレ…
そんなに年も変わらない筈なのに…何だよ、それ…

僕が呆然とその光景を見ていると、心臓の音がドクドクと響く。
煩いよ…僕の心臓…顔にも血がのぼっているみたいで…なんだコレ…
僕って血を見るのが好きだったの…?

しゃりん、と刀が鞘に戻る音が響く。

僕の視界は、うっすら笑った沖田さんで一杯になった。

な…んで…僕は…そんな顔を綺麗だなんて思っちゃうんだ…?
なんで沖田さんから目が離せないんだ…?

ぼんやりと、沖田さんをただ見つめている僕に、綺麗なままの沖田さんが近付いてくる。

「よぉ、新八ィ。何うすらぼんやり突っ立ってるんでィ。」

僕の目の前に来た沖田さんが、にひゃりと笑って顔を覗き込む。

「お…きたさ…ん…こんにちわ…」

「おぅ、こんにちわ。何でィ、捕物が怖かったんかィ?」

沖田さんのニヤニヤ笑いが濃くなる。

「そんな訳無いでしょうがっ!僕だって侍ですよっ?ただ…」

「ただ?」

「沖田さんがあんまり綺麗だったんで………っ!」

はっ!?僕は何言ってんだっ!?沖田さんに変に思われちゃうだろっ!?こんな事…

「へー、俺に見惚れてたんですかィ?遠慮なく惚れてくれて構わねぇぜ?」

沖田さんがニヤニヤ笑いを深くしたまま、両手を広げる。

「なっ…そんな訳無いですっ!同じ侍として綺麗な剣筋だなぁ、って!」

「へいへい、新八は照れ屋だねぇ。俺はいつでもおっけーですぜ?」

「だから、違うってっ!」

もぅ、ふざけてばっかり!んな訳無いじゃんっ!

…って…本当に…?

僕の心臓が、前よりドキドキ言ってるのは気のせい…?
僕の顔が、真っ赤になってるのは…誰のせい…?

アレ…?何これ…?僕、ホントに沖田さんに惚れ…

そう思った途端、もっと顔に血がのぼる。
きっともう、全身真っ赤になってるよ…

えっ!?ちょっ…何コレぇぇぇぇぇぇぇっ!?
ホントに好きになってるの…?僕…
にっこり笑う沖田さんが、直視出来ないよ…
何で…?男の人なのに…

なんとか顔を上げると、未だに手を広げて、ん?と小首を傾げる沖田さん…



ちくしょう…可愛いんだよっ…



僕は、その広げた両手に飛び込んでみようか?とか思い始めてしまった…
それも…アリなのかな…?



END



 

 

 


ミズサワシロウ様から頂きました素敵沖新小説でっす!
どうですか。どうですか!!(二回言った)
カワイイなあ新八……うちの殺伐ぱちに見習ってほし(ボグゥ!!)(撲殺音)
一部音声に不手際がありましたこと、謹んでお詫び申し上げます。
ミズサワ様、本当に本当にありがとうございました!!


UPDATE/2008.1.18

 

 

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